特集 骨粗鬆症:超高齢社会における現状と課題
骨粗鬆症の診断 骨密度,骨構造
Bone mineral density, bone structure.
Pharma Medica Vol.33 No.2, 19-22, 2015
「はじめに」骨粗鬆症は古くからその存在が知られていたが,1980年代までは脆弱性骨折を生じた例を骨粗鬆症と診断する傾向が強かった。ところが,1980年代の後半から骨塩定量の技術が飛躍的に進歩し,骨量の測定によって骨折を起こす前の段階で骨の脆弱性を評価することが可能になった。そのような背景のなか,1991年に開催された国際的なコンセンサス会議で,骨粗鬆症は「骨量の減少と骨微細構造の破綻を特徴として,骨強度が低下して骨折のリスクが高くなる全身性骨疾患」であり,骨折は骨粗鬆症の結果として生じる合併症の1つとする定義づけが行われた1)。その後,2000年になって骨密度に加えて「骨質」の概念が導入され,米国国立衛生研究所(National Institutes of Health;NIH)のコンセンサス会議で,骨粗鬆症は「骨強度の低下を特徴とし,骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患」と定義されることになった2)。すなわち,「骨密度」が「骨強度」の7割を占め,残りの3割を骨微細構造や骨代謝回転,骨疲労・微小骨折,さらに骨石灰化の程度などで規定される「骨質」が占めるとされた。
「KEY WORDS」骨密度,骨ジオメトリー,骨微細構造
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。