特集 めまい:診断と治療
前庭誘発筋電位(VEMP)について:前庭(耳石器)機能のより詳細な評価
Vestibular evoked myogenic potential(VEMP): more detailed evaluation of vestibular function.
Pharma Medica Vol.31 No.10, 15-18, 2013
「はじめに」末梢前庭は, 3つの半規管(外側・前・後半規管)と2つの耳石器(球形嚢・卵形嚢)によって構成される(図1). 末梢前庭機能の検査としては, 外側半規管機能の検査である温度刺激検査(カロリックテスト)や回転検査が広く行われているのに対して, 耳石機能については, これまで大型の設備を要する特殊な検査しか存在せず, 臨床の現場では事実上のブラックボックスであった. 1992年にColebatchとHalmagyiが強大な音響刺激によって前庭由来の筋電位が胸鎖乳突筋(sterno-cleido-mastoid, SCM)より記録されることを報告した1). この反応は, 前庭誘発頸筋電位(cervical vestibular evoked myogenic potential;cVEMP)と呼ばれ, 動物実験などによりこの耳石器の1つである球形嚢由来であることが判明して以降2), 新たな耳石機能検査として急速に普及した3).
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