Ⅰ.世界の結核  世界人口の約3分の1の人々が結核菌に感染し,2010年には新たに880万人が結核を発病していると推測され1),結核は世界最大級の感染症である。新規結核患者は2006年以降,減少している。また推定結核罹患率は人口10万対128であり,2002年をピークに緩徐にではあるが減少している。発生患者の2%が日本を含む欧米先進国であるが,残る98%は発展途上国や旧社会主義国で占められている。また地域的にはアジアが59%,アフリカが26%を占めている。結核での死亡者数は145万人であり,このうちには35万人のヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus;HIV)感染者を含んでいる。 KEY WORDS ●結核の現状 ●高齢者 ●ハイリスク者 ●予防指針