はじめに  血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura;TTP)は,無治療の場合は90%以上が死亡する予後不良な疾患であったが1),現在では新鮮凍結血漿(fresh frozen plasma;FFP)を置換液とした血漿交換療法で致死率約20%にまで低下した2)3)。TTPはわが国での正確な症例数は把握されていないが,海外からは人口100万人あたり3.7人4)発症するまれな疾患として報告されている。しかし,TTPという病気自体の認識度が高まるに従って症例数が増えていることが報告されている1)5)。さらに最近では,von Willebrand因子(VWF)を切断する酵素ADAMTS13(a disintegrin-like and metalloprotease with thrombospondin type 1 motifs-13)の登場により,TTPの注目度が増しており,TTPと診断される症例数は増えていることが予想される。TTPは,微小血管に血小板血栓が形成されることによって発症する疾患である。TTPの予後は改善したが,依然として致死率20%と死亡率が高く,またADAMTS13活性著減例の35%が再発すると報告されている6)。このように,TTPでは病初期の診断治療に加えて,難治例,再発例の診断治療が重要であり,ADAMTS13を中心とした病態解析の最近の知見について紹介する。 KEY WORDS ●血栓性血小板減少性紫斑病(TTP) ●ADAMTS13 ●von Willebrand因子 ●リツキシマブ