Ⅰ.肥満症の危険因子発生の上流-内臓脂肪型肥満  過栄養や運動不足などの生活習慣の欧米化とともに動脈硬化性疾患の罹患率は増加の一途を辿っており,国民の全死亡の約30%を占めている。このような状況のなか,わが国のみならず世界的に,内臓脂肪型肥満を中心として高血圧,糖代謝異常,脂質代謝異常などの危険因子が集積した病態をメタボリックシンドロームと定義し,動脈硬化性疾患の前段階として位置づけている。なかでも,内臓脂肪型肥満は上流に位置して,高血圧,糖代謝異常,脂質代謝異常などの危険因子を惹起すると考えられている(図1)。