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臓器移植をめぐる最近の話題;臓器移植法改正後の展開

肝癌治療における肝移植;適応の拡大と再発予防の進歩

菅原寧彦田村純人國土典宏

Pharma Medica Vol.29 No.11, 33-36, 2011

はじめに
 わが国では原発性胆汁性肝硬変,胆道閉鎖術後などの胆汁鬱滞性肝疾患が多かったが,2004年から,肝癌症例でもミラノ基準を満たせば保険適応となったことから,肝癌症例が次第に増加している。移植の適応基準や移植後の管理方法およびその成績について,自験例と文献的な考察を中心に解説する。

KEY WORDS
●再発 ●腫瘍条件 ●ガイドライン

Ⅰ.東京大学の基準と成績

 「ミラノ基準は良好な治療を確保するという点ではやや厳格すぎ,拡大するとすればUCSF基準(径6.5 cm以下1個もしくは径4.5cm以下3個以内,腫瘍径の合計が8cm以下)でも,ミラノ基準とほぼ同等の長期生存が期待できる」,というのが,近年の脳死肝移植での知見である。生体では,より個人的な意味合いが強いことから,脳死肝移植で示された条件ほど,腫瘍条件を制限する必要はないと思われる。「ではどこまで拡大するのが妥当か」という点が,ここ数年,学会や研究会などで盛んに議論されているテーマである。教室では,「肝癌のない症例とほぼ同等な成績を確保できる症例に制限すべき」という考えのもと,原則最大径5cmまで数は5個までと適応(5-5基準)を制限してきた1)。
 1996年1月から2011年5月まで行った肝癌合併症例は116例で,成人生体肝移植症例全体の30%であった。肝機能不全により切除や局所療法が不能な症例を適応とした。背景肝ではC型肝炎に合併したものが70例で多く,以下,B型肝炎が35例,C型肝炎+B型肝炎が2例,特にウイルス性肝炎を伴わないものが9例であった。死亡症例は21例であった。このうち,10例は肝癌の再発によるものであった(表1)。

再発した症例で別の2例は現在まで生存中である(術後2年後に,肺に再発を認めたが,切除)。再発以外の死亡原因は,胆汁鬱滞性肝炎で,ウイルス関連血球貪食症候群,血栓性微小血管症などであった。5年生存率は78%,3年再発率は10%であった(図1,図2)。

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