肝炎治療;最近の進歩
C型肝炎治療の現状と将来
Pharma Medica Vol.29 No.10, 23-26, 2011
はじめに
C型慢性肝炎の治療の変遷をみてみると(図1),C型肝炎発見前の1979年には肝細胞の保護目的のSNMC(強力ネオミノファーゲンC)が多く使われた。また1984年になると,ウルソデオキシコール酸が承認となり,SNMCとウルソデオキシコール酸の併用療法で,発癌予防を目指す治療が主流となった。一方1992年になると,C型肝炎ウイルスの発見とともに,C型肝炎ウイルスそのものを排除する目的のインターフェロン療法24週間が承認された。
KEY WORDS
●プロテアーゼ阻害薬 ●ペグインターフェロン+リバビリン ●HCV ●HCV Coreアミノ酸
はじめに(続き)
しかしこの治療では,ジェノタイプにより治療効果に差があり,特に1b型高ウイルス量のインターフェロン単独療法24週間投与の効果は,5%ときわめて低い値であった。逆にジェノタイプ2a・2bあるいは低ウイルス量での効果は約40%と,C型慢性肝炎治療においてウイルスを排除する目的の治療がはじめて完成した。
さらに2003年になり,ペグインターフェロンα-2a単独療法の週1回投与が承認となったが,その治療効果は大きくは変化しなかった。
2004年になり,ペグインターフェロン+リバビリン併用療法が承認されると,難治といわれた1b型高ウイルス量は,従来の5%から50%と飛躍的に治療効果が上がった。
また,αインターフェロンの副作用としてのうつ状態出現に対するβインターフェロン+リバビリン併用療法も2009年に承認された。
ここに至って,現時点でのC型慢性肝炎の治療効果は,1b型高ウイルス量では50%,2a・2b型高ウイルス量では90%,一方低ウイルス量ではいずれも80%以上の効果が得られた。
この状態を発展させるためのプロテアーゼ阻害薬(テラプレビル)が,2011年に承認の運びとなった。このプロテアーゼ阻害薬を含めた3者併用療法により,1b型高ウイルス量は,24週間投与で初回投与例では73.0%が治癒することになり,再燃例は同じ半年間の治療で88.1%,ペグインターフェロン+リバビリン併用療法無効例に対しても34.4%が治癒することとなった1)2)。

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