全文記事
エイズの現状;社会的影響への考察も含めて
HIV感染における粘膜の役割
掲載誌
Pharma Medica
Vol.27 No.4 25-28,
2009
著者名
川村 龍吉
記事体裁
特集
/
全文記事
疾患領域
感染症
診療科目
一般内科
/
呼吸器内科
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産婦人科
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皮膚科
/
泌尿器科
/
神経内科
/
血液内科
/
老年科
媒体
Pharma Medica
「はじめに」 世界における新規ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者推計総数は, 年間約250(180~410)万人にも上り, この約8割は異性間の性的接触による. 異性間性行為においてHIV感染者の精液あるいは膣分泌液中に含まれるHIVがパートナーの外陰部・性器粘膜に曝露される際, HIVは粘膜上皮から侵入後, 粘膜下組織, さらには所属リンパ節に運ばれて宿主での永久的な感染を成立させる. 粘膜はHIVを含む多様な外来微生物の侵入に対して物理的あるいは化学的バリアとして機能しているが, HIVがどのようにしてこれらのバリアを回避して生体内に侵入するのかは長らく謎であった. 近年, この分野の研究が飛躍的に進み, 粘膜を介したHIV侵入メカニズムが解明されつつあり, これに伴って宿主粘膜のHIVに対する防御機構も徐々に明らかとなってきた. 「I. HIV侵入に対する粘膜上皮のバリア機能」 粘膜には, 多様な外来微生物の侵入に対する物理的あるいは細胞・蛋白レベルでの防御機構が存在し, 粘膜上皮層, 常在菌叢, 体液中活性物質, 補体あるいは細胞性免疫・免疫グロブリンなどが外来微生物の侵入を妨げている.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。