本誌第1巻第1号「認知症の行動・心理症状(BPSD)について①総論」で述べたように,認知症患者に出現する行動・心理症状(behavioral and psychological symptoms of dementia:BPSD)は臨床的に重要な問題であり続けた。一方で,その対応には具体的な方法がなく,1950年代にハロペリドールやクロルプロマジンなどの抗精神病薬が開発されると,それらが認知症患者のBPSDに対しても用いられるようになった。
1990年代に入ると,国際老年精神医学会(international psychoanalytical association:IPA)によるBPSD概念の成立1),そしてNeuropsychiatric Inventory(NPI)を中心としたBPSDの症状の定量的な評価尺度の開発2)がほぼ同時期になされ,それとともに非定型抗精神病薬の発売も相次ぎ,これらの薬剤のBPSDへのランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)が行われるようになった3)。しかしながら,2005年にSchneiderらが15のRCTのメタアナリシスを行い,非定型抗精神病薬はプラセボに比べて死亡リスクを高めると報告した4)。それを受けて,米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)はTalk Paperを出して,認知症のBPSDに対する抗精神病薬の使用に警鐘を鳴らした。

