超高齢社会を迎えた本邦において，認知症診療の精緻化とquality of life（QOL）の向上は最大の医療課題の1つである。疾患修飾薬の上市によりアルツハイマー病（Alzheimer's disease：AD）の診断や治療導入に目が行きがちであるが，治療可能な認知症（treatable dementia）も一定の頻度で存在し，的確な診断と治療介入によっては著明な改善が期待できる。特に画像診断の進歩は，こうした治療可能な認知症の早期発見・治療適応判断に不可欠な役割を担っている１）２）。本稿では，治療可能な認知症として代表的な疾患である特発性正常圧水頭症（idiopathic normal pressure hydrocephalus：iNPH），慢性硬膜下血腫（chronic subdural hematoma：CSDH）について，画像診断の要点と，臨床戦略を概説する。