本論文は2024年12月に発表されたオピニオンペーパーである1)。アミロイドβ(amyloid β:Aβ)やタウ蛋白といったバイオマーカーの研究の進歩に基づき,アルツハイマー病(Alzheimer's disease:AD)をバイオマーカーで定義する動きが加速している。特に,2024年にAlzheimer's Association(AA)によって発表された診断基準では,認知機能が正常であってもAβやタウ蛋白などのバイオマーカーが陽性であればADと診断することを提案し,話題となった。これに対し,International Working Group(IWG)はADを純粋な「生物学的な(biological)概念」として扱うことについて,その臨床面や社会面への影響を中心とした懸念を表明し,ADを「臨床-生物学的な(clinical-biological)構造」として定義することを提案している。