アルツハイマー病(Alzheimer's disease:AD)は,最も頻度の高い認知症疾患である。原因としては,アミロイドβ(amyloid β:Aβ)の凝集が最上位にあり,その後,タウ蛋白の凝集,異常リン酸化,神経細胞脱落が起こるとされる「アミロイド仮説」が提唱され,その最上位のAβに対する免疫療法が研究されてきた。
主に可溶性の状態であるプロトフィブリルに親和性の高い抗Aβ抗体薬として,レカネマブが2023年に本邦で承認された。
それに引き続いて開発されたのがドナネマブである。本剤は脳のアミロイドプラークのみに存在する不溶性のN末端切断型アミロイドを標的としており,効率よくアミロイド沈着を除去することが可能となるとされている。本剤の第Ⅲ相試験としてTRAILBLAZER-ALZ 2試験が行われ,報告したのが本論文である1)。ADがある程度進行するとタウ病理が病態をより悪化させると考えられ,タウ沈着を階層化して検討しているのが特徴である。本剤は米国で2024年7月に承認され,本邦でも2024年9月に承認となった。

