本邦は超高齢社会に突入し,認知症の有病率は12.3%,軽度認知障害(mild cognitive impairment:MCI)の有病率は15.5%と推計されている1)。認知症は要介護認定の主因となっており,その予防および治療戦略の開発は,高齢者の健康寿命延伸,介護費用の抑制,介護者の負担軽減において重要な課題である。近年,認知症の進行を抑制する薬剤が承認され,疾患修飾薬として注目を集めている。しかしながら,適応範囲の狭さや高額な薬価など,課題も存在する。さらに,薬物療法の治療効果は認知機能低下を遅延させることにとどまり,認知症の予防や認知機能回復に至ることは現状では困難である。このような背景から,認知症の予防および治療戦略として,薬物療法と非薬物療法の併用が推奨されている。非薬物療法のうち,特に運動介入は2019年に公表された『認知機能低下および認知症のリスク低減 WHOガイドライン』2)において,強く推奨されている。そこで,本稿では,認知症に対する運動介入の科学的根拠およびその実践戦略について概説する。
認知症の予防戦略
運動介入:科学的根拠と実践的アプローチ
掲載誌
The Curator of Neurocognitive Disorders
Vol.2 No.1 38-42,
2025
著者名
下田 隆大
/
島田 裕之
記事体裁
抄録
/
連載
疾患領域
精神疾患
/
神経疾患
/
脳血管障害
診療科目
神経内科
/
老年科
/
精神科
媒体
The Curator of Neurocognitive Disorders
Key Words
メカニズム
/
運動処方
/
運動量
/
安全管理
/
複合的介入
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

