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特集 本邦における認知症の最新疫学・介入研究

①地域疫学研究の成果からみた認知症リスク低減の可能性


掲載誌
The Curator of Neurocognitive Disorders Vol.2 No.1 18-23, 2025
著者名
二宮 利治
記事体裁
抄録 / 特集
疾患領域
精神疾患 / 神経疾患 / 脳血管障害
診療科目
神経内科 / 老年科 / 精神科
媒体
The Curator of Neurocognitive Disorders
Key Words
認知症 / 有病率 / 罹患率 / リスク因子 / 疫学研究

本邦では,超高齢社会を迎えて認知症患者の急増が医療・社会問題となっている。欧米諸国の疫学調査では,認知症の有病率・罹患率が低下傾向にあるとの報告が散見される。福岡県糟屋郡久山町で継続中の疫学調査の成績では,65歳以上の住民における認知症の粗有病率は,1985年の6.7%から2012年には17.9%と上昇したが,その後低下傾向を認めた。さらに,2022~2023年に実施した,本邦4地域の65歳以上の地域住民を対象とした認知症の有病率調査において,認知症の有病率は12%であり,2012年の厚生労働省から報告された15%に比較して低かった。これらの知見は,本邦においても認知症の有病率が低下傾向に転じたことを示唆している。認知症の発症リスクの低減を図る上で,糖尿病や高血圧などの生活習慣病の予防や適切な管理に加え,禁煙,定期的な運動習慣,筋力維持,多様性のある食事など,さまざまな因子の包括的な対策を心がけることが重要であるといえよう。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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