フレイルとは,加齢とともに心身の活力が低下し,生活機能障害のリスクが高くなった状態であり,認知症と双方向の関連があるとされる。本稿では,まずフレイルの定義について示し,次にフレイルと認知症との関連について最近の論文を中心に紹介する。最後にフレイルの可逆性と認知症および要介護予防への展望を述べる。
フレイルには身体的フレイル,精神・心理的フレイル,社会的フレイルがある。身体的フレイルには口腔機能低下,栄養不良,サルコペニアなどが関与する。精神・心理的フレイルには認知症,うつ,社会的フレイルには独居,孤独,閉じこもり,経済的問題が関与する。
身体的フレイルの診断には,①体重減少,②疲労感,③身体活動低下,④歩行速度低下,⑤握力低下の5項目からなるFriedらのthe Cardiovascular Health Study(CHS)基準が国際的によく用いられる。このFriedらのCHS基準を用いて本邦の高齢者の身体的フレイルの有病率を調査したところ,身体的フレイル状態にある高齢者は8.7%,プレフレイルは40.8%と報告された1)。

