③タウ沈着はアルツハイマー型認知症の病態にどうかかわるのか？

認知症の原疾患として最も多いアルツハイマー型認知症（Alzheimer's disease：AD）の主な病理学的変化はアミロイドβ（amyloid β：Aβ）とタウの沈着である。ADの症状進行には，Aβ，タウの両者が関与するが，本稿ではタウ沈着がADの病態にどのようにかかわるかを概説する。さらに，同じくタウ沈着がみられ，鑑別が必要な神経原線維変化型老年期認知症（senile dementia of the neurofibrillary tangle type：SD-NFT）や，正常加齢によるタウ沈着として近年提唱された原発性年齢関連タウオパチー（primary age-related tauopathy：PART），ADに合併し注意を要する海馬硬化，辺縁系優位型加齢性TDP-43脳症（limbic-predominant age-related TDP-43 encephalopathy：LATE）についても述べる。