いよいよ本邦でも抗アミロイド抗体療法としてレカネマブが上市され,実臨床に用いられるようになった1)。抗アミロイド抗体療法は,アミロイド仮説に基づき,アルツハイマー病(Alzheimer’s disease:AD)の最初の段階とされる脳内アミロイド蓄積に作用して,これを除去する治療である2)。一方,ADのもう1つの異常蓄積蛋白はタウであり,アミロイド仮説では,アミロイド蓄積の次のステップとされる。従来の病理学的検討や陽電子放出断層撮影(positron emission tomography:PET)による分子イメージングの研究からは,臨床症状の重症度と相関するのは,老人斑の数やアミロイド蓄積の程度ではなく,神経原線維変化(neurofibrillary tangle:NFT)やタウ蓄積の程度であることが知られている。したがって,アミロイド蓄積を除去する治療により臨床症状がどのように変化するかを捉えることは,そもそも困難が予想される2)。また,Cummingsら3)のレカネマブの適正使用指針では,個々の症例での効果を確認することは困難であると述べられている。その理由は,進行抑制率の変化は比較的微細なもので,縦断的で包括的な治験レベルの評価を行いプラセボ対照と比較してようやく検出できるもので,症例内や症例間の経過の変動に隠れてしまうからである。