―近年,腸内細菌に関する研究が盛んです.日本人の特徴は明らかになっているのでしょうか.

遺伝子解析技術の進歩により,これまで考えられてきた以上に数多くの種類の腸内細菌が消化管に棲息することが解明されてきました.正確な数は依然不明ですが,約1,000種類,100兆個以上にのぼると考えられています.

日本人の腸内細菌は,ファーミキューテス門,バクテロイデス門,プロテオバクテリア門,アクチノバクテリア門で90%以上を占めていることがわかっています.そして,こうした日本人の腸内細菌叢の組成は,国外の人とは大きく異なることも報告されています.具体的には,日本人の腸内細菌叢は,いわゆる善玉菌と呼ばれるビフィズス菌やブラウチアなどが優勢であり,炭水化物やアミノ酸代謝の機能が豊富です.また,国外ではおもにメタン生成に消費される水素が,日本人では酢酸生成に消費されるといった違いなどが明らかにされています1).酢酸はヒトの細胞において有用な栄養素となることが知られており,日本人の腸内細菌叢には生体に有益な機能が多く含まれているといえます.さらに,このことが日本人の肥満率の低さや,世界一の平均寿命などと関連している可能性も示唆されています.