男性の新規罹患数が最多である前立腺癌は,転移を有したり従来の治療に抵抗を示したりする場合,治療選択肢が限られ,予後不良となる。特に,転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)の5年生存率は20%未満で,致死的病態とされている1)2)。従来の癌治療は外科手術,放射線療法,化学療法が主体であり,ウイルス療法は新規の概念に基づく治療法である。これまで,遺伝子工学の進歩により遺伝子治療,特にウイルスベクターやがん治療用ウイルスを使用した研究報告が多くなされてきた。