Special Articles
基礎 前立腺癌と腸内細菌叢:Gut-prostate axis
掲載誌
ESPOIR
Vol.6 No.1 13-17,
2023
著者名
藤田 和利
/
松下 慎
/
植村 天受
記事体裁
抄録
/
連載
疾患領域
癌
/
泌尿器
診療科目
泌尿器科
媒体
ESPOIR
Key Words
腸内細菌叢
/
前立腺癌
/
テストステロン
/
短鎖脂肪酸
/
炎症
ヒトの腸内細菌叢は,生活習慣などの環境要因の影響を受けて変化し,ヒトの健康に影響を与える。腸内細菌叢は多くの疾患と密接に関連しており,近年,前立腺癌も腸内細菌叢の影響を受けていることが明らかになってきた。ヒトの腸内細菌の研究により,腸内細菌叢は悪性度や去勢抵抗性などの前立腺癌の特徴によって異なっていることが明らかになった。さらに腸内細菌がテストステロン代謝にも関与しており,前立腺癌の進行と治療効果に影響を与える可能性が示唆されている。基礎的研究から,短鎖脂肪酸などの細菌代謝産物やリポ多糖(LPS)などの細菌成分を介した複数のメカニズムを通じて,腸内細菌叢が前立腺癌の発症進展に重要な役割を果たしていることが示されている。Gut-prostate axis(腸-前立腺連関)と呼ばれる,腸内細菌叢と前立腺癌との間の新たな関係について議論する。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。