進行性尿路上皮癌に対する標準的1次治療はゲムシタビン+シスプラチン(GC)療法であるが,GC療法に不応になった症例に対する2次治療の全生存期間(OS)は5~7カ月と短く,生命予後を改善できるエビデンスレベルの高いものはなかった1).そのため,新たな治療法の開発が待望されていた.そこに登場してきたのが免疫チェックポイント阻害剤であり,尿路腫瘍にもがん免疫療法Immuno–Oncology(I–O)の時代が到来したのである.
2016~2017年に,米国食品医薬品局(FDA)は,プラチナ製剤ベースの化学療法施行中または施行後に病勢進行を認めた,またはプラチナ製剤ベースの化学療法による術前または術後補助化学療法を行い,12カ月以内に病勢進行を認めた局所進行性尿路上皮癌,または転移性尿路上皮癌(mUC)に対し,5つの免疫チェックポイント阻害剤を認可した.抗PD–L1抗体であるアテゾリズマブ(1次2),2次治療3)),デュルバルマブ(2次治療4)),アベルマブ(2次治療5)),抗PD–1抗体であるニボルマブ(2次治療6)),ペムブロリズマブ(1次7),2次治療8,9))である.これらの中で,第Ⅱ相試験にて認可が下りたのはアテゾリズマブ,デュルバルマブ,アベルマブ,ニボルマブで,唯一第Ⅲ相試験によるエビデンスに基づき,承認されたものが2次治療におけるペムブロリズマブである.
それでは,進行性尿路上皮癌において従来の化学療法と免疫チェックポイント阻害剤では効果にどのような違いがあるのであろうか.免疫チェックポイント阻害剤の有効性において抗がん剤と異なり重要な点は効果のdurabilityである.抗がん剤では近接効果として腫瘍縮小が得られても,やがて進行するのが常であり,われわれ泌尿器科医は転移巣の外科的切除や放射線治療などを組み合わせた集学的治療で延命効果を得ようと努力してきた.一方,免疫チェックポイント阻害剤は薬剤単独で完治の可能性が出てきたのである.抗がん剤と免疫チェックポイント阻害剤のKaplan–Meier(K–M)曲線を直接比較することができれば,その違いを鮮明にできると思われる.
ここでは,進行性尿路上皮癌に対し2次治療においてFDAが認可した免疫チェックポイント阻害剤の中で,第Ⅲ相試験にて既存の化学療法との比較が行われたペムブロリズマブ(KEYNOTE–045試験)とアテゾリズマブ(IMvigor211試験)を取り上げ,免疫チェックポイント阻害剤が従来の化学療法と比べ,効果にどのような違いがあるかを示し,PD–L1染色の効果予測因子としての問題点についても言及したい.