Feature Articles 特集論文　2．痤瘡とマイクロバイオーム

尋常性痤瘡は，思春期から成人期にかけて多くの人が経験する一般的な皮膚疾患であり，おもに顔や背中，胸部など皮脂腺が発達している部位に生じる．痤瘡の基本的な病因としては，ホルモンバランスの変化がもたらす皮脂の過剰分泌，毛包（毛穴）の閉塞，細菌の増殖，そして炎症反応が挙げられるが，その発症メカニズムには，食事や睡眠といった生活習慣，環境の変化や心理的なストレスなどのさまざまな要因が関与していると考えられている．そのなかでも近年，皮膚に生息する微生物群集であるマイクロバイオームとの関連が注目されており，この分野の研究が急速に進展している．本稿では，痤瘡とマイクロバイオームの関係について，その背景と最新の研究成果，また治療の最前線について紹介する．