痤瘡は炎症性疾患であるため,早期からの適切な治療およびスキンケアにより瘢痕を形成させずに治癒させることが可能である.非炎症期である面皰・丘疹期に適切な治療により軽快,治癒に至れば瘢痕は形成されない.しかし,炎症期である膿疱・囊腫期をくり返すことにより,赤色瘢痕から白色の成熟瘢痕に移行する.
痤瘡治療は,この10年で新たな外用薬の保険適応によりかなり進歩した.一方で,痤瘡瘢痕(クレーター,アイスピック状の陥凹変形)を主訴に受診する患者が減ったわけではない.多くの患者は自分の正常部の皮膚と同じようになると思って受診するが,成熟瘢痕に対する皮膚のremodelingは難しく,現状では確実な治療方法はない.しかし,深刻に悩んでいる患者も多いため,軽快はするが難治であることと,ダウンタイムや費用面についても説明したうえで治療を行うようにしている.