肺高血圧症(pulmonary hypertension:PH)の治療薬の進歩や治療法の確立により,PH患者さんの予後は大幅に改善しています。その一方で,最大限の治療を行っても薬物療法に抵抗性で進行・重症化してしまうPHに対する根本的治療法は肺移植しか選択肢がありません。
2023年12月時点で日本における肺移植希望登録者数は572名にのぼり,特発性間質性肺炎165名,その他の間質性肺炎119名に次いで,PHは106名(18.5%)が登録されています1)。2015年に肺移植実施施設として認定された東京大学医学部附属病院でも,2024年4月時点で肺移植希望登録者として待機している約170名の患者さんのうち約2割がPH関連患者さんです。

