Selected Papers 海外文献紹介
臨床 肺動脈性肺高血圧症に対するマシテンタン/タダラフィル固定用量配合薬の有効性および安全性
掲載誌
Pulmonary Hypertension Update
Vol.10 No.1 61-63,
2024
著者名
松枝 佑
/
田中 住明
記事体裁
抄録
/
連載
疾患領域
循環器
/
呼吸器
診療科目
循環器内科
/
呼吸器内科
媒体
Pulmonary Hypertension Update
肺動脈性肺高血圧症(PAH)治療におけるエンドセリン受容体拮抗薬(ERA)とホスホジエステラーゼ5阻害薬(PDE5i)の併用療法は,単剤療法に比し血行動態の改善,運動耐容能の向上,心血管イベントのリスク低減において重要な役割を果たしている。しかし,実臨床では,PAHの治療に多剤を併用することの有効性とは裏腹に,患者の内服コンプライアンスに関して大きな課題がある。特に,高血圧,膠原病性疾患,HIV感染症など,PAHを伴う基礎疾患をもつ患者はすでに複数の薬剤を服用しており,さらに多くの薬剤を追加することは現実的ではない。高血圧や2型糖尿病などのほかの疾患では,複数の治療薬を1つの錠剤に組み合わせた固定用量配合薬(FDC)が内服コンプライアンスの向上と臨床的有効性に寄与している。そのなかで,ERAであるマシテンタン10mgとPDE5iのタダラフィル40mgのFDC(M/T FDC)が一部の国で承認された。しかし,このFDCがPAHの初期治療としての安全性と有効性を評価した研究はまだ行われておらず,多くの国での使用承認は得られていない(日本でも2024年4月現在未承認)。A DUE試験は,PAH患者において,M/T FDCをマシテンタン10mgおよびタダラフィル40mgの単剤療法と比較することにより,その有効性と安全性を明らかにすることを目的とした。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

