肺高血圧症(pulmonary hypertension:PH)は平均肺動脈圧(mPAP)の上昇を特徴とする疾患である。その原因は特発性から複数の病態が複雑に絡み合うものまでさまざまであり,それぞれ治療方法および治療効果が異なる。現在,その診断および治療効果の判定に関しては右心カテーテル検査がゴールドスタンダードであるが,侵襲の高い検査である。そのため,これまで間接的に肺動脈圧を推定することができるような非侵襲的な検査方法が研究されてきた。画像検査はPHの診療において重要な役割を担う非侵襲的な検査の1つである。

PHでは肺動脈への血流状態を反映して右心機能が影響を受けるため,右心系の機能の把握が重要であり,最も簡便に状態を把握する方法として心エコー検査が挙げられる。特に右心の拡大や三尖弁逆流などの所見はPH の有無やその重症度を判定するのに有用であり,スクリーニングに用いられる1)。しかし,限られたエコーウィンドウや術者の技量による測定誤差などの課題も多い2)