癌薬物療法中に出現する倦怠感はさまざまな副作用・合併症の一症状としてあらわれ,速やかな原因探索が重要です。殺細胞性抗癌薬や分子標的薬では薬物の直接的な障害による副作用であるため,その臓器・組織特異性を考慮して対策がなされます。治療介入が必要な副作用・合併症は随伴症状や一般検査所見から診断できることが多く,それらを除外できれば経過観察のみで一過性に軽快することも少なくありません。
一方,免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor:ICI)の副作用はT細胞活性化による過度の免疫反応が原因であるために全身のどの組織にも起こり得ます。そのため,ICI投与中においては,これまで鑑別診断として挙げられなかった免疫関連副作用を考慮する必要があります。