「はじめに」「術前治療によるpCRは薬剤の有効性評価の代替指標にはならない」とする立場から,その理由を3つ挙げる。
①病理学的完全奏効(pathological complete response:pCR)とは抗癌剤によって生じた現象(結果)であり,抗腫瘍効果を予測したものではない。
②pCRが得られても,それが無増悪期間(disease-free survival:DFS)や全生存期間(overall survival:OS)の改善に寄与するのか否か,いまだ一定した見解が得られていない。
③よしんばpCRが認められたとしても,効果の認められた症例のみで予後が改善するだけであり,同一薬剤でもpCRに至らなかった症例は予後不良が予測される。つまり個々の症例の予後予測であり,薬剤そのものの有効性評価の代替指標になりえない。
本稿では上記3つの視点に立って「術前治療によるpCRは薬剤の有効性評価の代替指標にはならない」ことを概説したい。しかしながら,ペルツズマブを代表としてpCRを参考にした乳癌領域における薬剤の迅速承認を阻止する目的ではないことを予めご了承いただきたい。
●本企画「誌上ディベート」は,ディベートテーマに対してあえて一方の見地に立った場合の議論です。問題点をクローズアップすることを目的とし,必ずしも論者自身の確定した意見ではありません。
・論点整理/南博信
・「代替指標となる」とする立場から/増田慎三
・「代替指標にはならない」とする立場から/荒木和浩/伊藤良則
①病理学的完全奏効(pathological complete response:pCR)とは抗癌剤によって生じた現象(結果)であり,抗腫瘍効果を予測したものではない。
②pCRが得られても,それが無増悪期間(disease-free survival:DFS)や全生存期間(overall survival:OS)の改善に寄与するのか否か,いまだ一定した見解が得られていない。
③よしんばpCRが認められたとしても,効果の認められた症例のみで予後が改善するだけであり,同一薬剤でもpCRに至らなかった症例は予後不良が予測される。つまり個々の症例の予後予測であり,薬剤そのものの有効性評価の代替指標になりえない。
本稿では上記3つの視点に立って「術前治療によるpCRは薬剤の有効性評価の代替指標にはならない」ことを概説したい。しかしながら,ペルツズマブを代表としてpCRを参考にした乳癌領域における薬剤の迅速承認を阻止する目的ではないことを予めご了承いただきたい。
●本企画「誌上ディベート」は,ディベートテーマに対してあえて一方の見地に立った場合の議論です。問題点をクローズアップすることを目的とし,必ずしも論者自身の確定した意見ではありません。
・論点整理/南博信
・「代替指標となる」とする立場から/増田慎三
・「代替指標にはならない」とする立場から/荒木和浩/伊藤良則