甲状腺乳頭癌の初回手術における甲状腺切除範囲として,わが国を含む各国のガイドライン1)-3)で提示されている選択肢は葉切除と全摘の2つである。全摘の適応は以下の3つに大別される。
①全摘しなければ治癒切除できない場合(対側腺内転移や両葉に及ぶ大きな腫瘍など)
②遠隔転移があり,放射性ヨウ素内用療法を要する場合
③治癒切除のためには全摘は不要だが,放射性ヨウ素による補助療法を考慮すべき“高リスク群”である
①,②は議論の余地がないが,③“高リスク”の定義にはいまだ世界的なコンセンサスが得られていない。本研究では,当院で初回手術を受けた乳頭癌症例を後ろ向きに調べ,“高リスク群”とは何かを検討した。