脱分化してヨウ素取り込み能を失った分化型甲状腺癌や,低分化,未分化甲状腺癌では放射性ヨウ素内用療法の治療効果が得られず,さらに,分子標的治療薬も癌の治癒には至らないことが多いのが現状である。このような脱分化した癌に対しては,分化誘導が治療の新たな手段になるのではないかと考えられており,これまでさまざまな研究が行われてきた。本稿ではこれまでの研究の成果から将来への展望を論じたい。