入院患者の自殺は重大な医療事故の1つであり,自殺予防のためにリスク因子の検討はきわめて重要です。医療現場全体において自殺リスクのスクリーニングと評価が推奨されていますが,入院患者の自殺リスクの評価尺度として妥当性や信頼性が確立された方法がないことが課題となっています。自殺には多くの複雑な要因があるため,従来のリスク予測モデルでは実用性が不十分とされてきました。そこで近年,機械学習モデルなどの人工知能(AI)手法に基づく新たなリスク評価に期待が集まっています。今回取り上げる論文は,臨床医による臨床での自殺リスク評価(suicide risk assessment:SRA)と機械学習モデルを組み合わせ,自殺企図予測に有効かどうかを明らかにしようとするものです1)