Culture in Psychiatry
ラーゲルクヴィストの『巫女』
掲載誌
精神科臨床 Legato
Vol.11 No.1 62-63,
2025
著者名
高橋 正雄
記事体裁
抄録
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連載
/
コラム
疾患領域
精神疾患
診療科目
心療内科
/
精神科
媒体
精神科臨床 Legato
1956年にスウェーデンの作家ペール・ラーゲルクヴィスト(1891~1974年)が発表した『巫女』(山下泰文訳,岩波書店)は,古代ギリシアのデルフォイの神託を司る巫女を主人公にした物語である。
この巫女は年老いた後も「あんなに偉大で,あんなに神に愛され,乗り移られた神託所の女祭司はこのデルフォイにはたえてなかった」と伝えられるほど卓越した伝説の巫女だが,彼女の両親はデルフォイ近くの村に住む信仰心の篤い貧しい農夫に過ぎなかった。
しかし,彼女は大きくなるにつれて同じ年頃の娘たちとは異なることがわかってきた。初潮が始まる頃,「幻影が見えたり,幻聴が聞こえたりした」のである。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。