古澤平作についてご紹介ください。
古澤平作(1897~1968)は,精神分析の創始者ジークムント・フロイト(1856~1939)に直接学んだ唯一の日本人医師であり,日本における精神分析の父ともいわれています。彼は,第二高等学校(旧制)時代に入った浄土真宗系の自治寮で熱心な在家信者になり,宗教運動家の近角常観(1870~1941)との出会いもあって,仏教への傾倒は終生変わることがありませんでした。
彼の功績を年代順に列記すれば,①「阿闍世コンプレックス」の提唱(1932),②フロイトに直接学んだ唯一の日本人精神科医(1932),③日本で最初に精神分析で学位取得(1933),④精神分析に特化した最初のメンタルクリニック「精神分析学診療所」の開設(1933),⑤日本精神分析学会の創設(1955),⑥土居健郎,小此木啓吾,西園昌久など錚々たる次世代の精神分析家の育成,⑦ 被分析者の1人である瀬戸内晴美(のちの寂聴)がのちに仏門へ入る一契機をなした,の7つが大きく挙げられます。