近代的な精神科医療は明治初期から始まったと言っていいでしょう。まず,軍の要請によって1874年に東京衛戍病院に精神病室が作られ,以降1902年までに18の衛戍病院に精神病室ができました。これらは病床数10床以下と小規模で,当時は精神科を専門とする医師がいなかったため内科医などが対応していたと考えられます。そこで精神科的な対応が行われていたのかは定かでなく,おそらく興奮して暴れる患者さんを監禁していたのではないかと思われます。
一方,地域医療上の必要性から1875年に京都癲狂院が,1878年に区立函館病院瘋癲病室が作られました。また,明治維新後の浮浪者増加への社会政策の流れで,東京府癲狂院(現在の東京都立松沢病院)が1879年にできました。私立精神病院では1878年に加藤瘋癲病院が,1880年に小石川癲狂院が作られています。さらに,西洋から精神医学の知識や技術をもった西洋医によって愛知病院の精神病室が1880年に作られました。