2017年に多く読まれた精神科領域の論文を取り上げる連載“Most Read Articles in 2017”,今回はファーマコゲノミクスによって大うつ病性障害(major depressive disorder;MDD)の臨床アウトカムを改善できるのか,臨床試験と費用対効果研究のシステマティックレビューをご紹介したいと思います1)
米国では近年,遺伝子検査が米国食品医薬品局(Food and Drug Administration;FDA)によって承認され,利用可能となっています。がん領域などと比較すると精神科領域での遺伝子検査はまだ一般化しているとはいえませんが,たとえば特定のヒト白血球抗原(human leukocyte antigen;HLA)ハプロタイプが漢民族におけるカルバマゼピン投与時のStevens-Johnson症候群などの有害事象と関連があることが明らかになっており,その有用性が期待されています。
米国においても精神科領域の遺伝子検査への関心は高く,遺伝子検査が臨床アウトカムにどのような影響を及ぼすかが注目されています。本研究ではシステマティックレビューにより,遺伝子検査でガイドされた治療が通常治療よりもMDD患者に対する治療効果(うつ病重症度の変化,奏効率または寛解率)を高めるかどうか,またその費用対効果について検討されました。本稿では,本システマティックレビューのデザインと結果の解釈から,この論文が注目された理由と,今後必要とされる取り組みについて考えていきたいと思います。