便潜血検査免疫法(FOBT)の感度・特異度に関しての報告は数多くあるが,スクリーニングとして用いる場合,ことさら良好な感度を求める必要はない。感度が良好であっても特異度が低く仮に要精検率が10%となった場合,多くの偽陽性者が発生し精検に膨大な無駄が生じるだけでなく,精検時偶発症など不利益も多く発生することになるからである。現在利用されている免疫法キットの多くはカットオフ値を自由に設定可能で,検診状況を考慮し実施可能で現実的な陽性反応的中度や要精検率を根拠に感度を設定しても問題ないと思われる。なぜなら,大腸癌の前臨床期間は約7年程度と比較的長いため,その間に頻回に検診受診が可能で,たとえ検査の感度が低くても最終的なプログラム感度は良好となりがん発見に結びつけることができるからである。
また,頻回に検診を受診しプログラム感度が上昇すると偽陰性例も低下することが理論的に推測される。対策型検診でこれを考える場合,頻回受診は対象者の高い受診率と言い換えることができる。死亡率減少効果を証明した無作為化比較対照試験と同様の死亡率減少効果を実際の大腸がん検診の運用のなかで得るためには,受診率向上に向けた啓発活動や環境整備が重要である。
「KEY WORDS」便潜血検査免疫法(FOBT),前臨床期間,中間期がん,検査精度,プログラム感度