血友病はX連鎖劣性遺伝の出血性疾患である.血友病に罹患している父親と罹患していない母親の子は,男性ならば非罹患(健常),女性ならば「保因者(carrier)」である.このケースの女性は,遺伝学的に父親の病因遺伝子変異のあるX`染色体が遺伝されるため,保因者かどうかを判定するための検査,すなわち「保因者診断」を実施しなくとも保因者であることがわかり,「確定保因者(obligate carrier)」に相当する(図1).健常の父親と保因者の母親の子は,男性ならば健常または患者,女性ならば健常または保因者であり,それぞれの確率は1/2である.このケースの女性が「推定保因者(possible carrier)」で,保因者診断の検査を実施することによって保因者かどうかが判定できる.血友病保因者女性は,通常,無症候で出血症状がない.しかし,血友病保因者調査によって,血友病の病因遺伝子変異をもっている対象保因者の約1/3が過多月経,歯肉出血,青あざ,術後出血や分娩後出血など何らかの出血症状を経験している1,2)ことが明らかになってきた.2017年には,血友病保因者妊婦と血友病新生児の出血を回避し,また出血症状を伴う場合には早期に適切な止血治療を図ることを目的とした『エキスパートの意見に基づく血友病周産期管理指針』が,わが国で発行された3).血友病患者の止血治療の飛躍的な進展に伴い,近年,保因者女性のケアについての関心も高まってきたが,保因者を支援するための医療体制の整備などまだまだ課題は多い.本稿では,血友病保因者の基礎を中心に保因者診断について述べる.
血友病最前線
【臨床】血友病保因者の診断プロセス
掲載誌
Frontiers in Haemophilia
Vol.7 No.1 17-20,
2020
著者名
篠澤圭子
記事体裁
抄録
疾患領域
血液
診療科目
血液内科
媒体
Frontiers in Haemophilia
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

