PEGの正式名称はPoly(ethylene glycol)(ポリエチレングリコール)で,図1の化学構造を有する合成高分子である.PEGは水溶性および生体適合性に優れており,経口投与や静脈投与,皮下注射での使用がアメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administration;FDA)により認可されている1).その最大の性質は,血液中のタンパク質や脂質などをほとんど吸着せず,細胞との相互作用も小さい点である2).そのため,PEGを結合することは(PEG化),医薬品の性能を大きく変化させるためのストラテジーとして注目されている.目的に応じてさまざまな分子量のPEGが展開されており,一般には分子量として5,000~60,000のPEGが使用される.分子量増大に伴って医薬品あたりのPEG含量が増えるため,PEG由来の性能がより強く発揮されるが,同時に薬効成分本来の効果が損なわれることもあるため,その製剤設計は医薬品ごとに最適化する必要がある.
PEGを結合した医薬品は,医薬品と血液中の酵素との相互作用を阻害するため,多くの場合に医薬品の血液中の半減期が延長する1, 2).さらに,PEG化を施すことで,水溶性が向上するため血液中での凝集抑制が可能となる.また,細胞や物質との相互作用を抑制するというPEGの性質は,PEG化された物質のオプソニン化や関連する貪食細胞による食作用を回避し,低分子へのPEG化は腎排泄を抑制するため,医薬品の血中滞留時間の延長へとつながる1, 2)