―まずはAFPサーベイランスについてご紹介ください.
急性弛緩性麻痺(acute accid paralysis:AFP)は,世界ポリオ根絶計画1)のなかで提唱された概念であり,「急性に四肢の弛緩性運動麻痺を呈する疾患」の総称です.AFPを呈する疾患としてはポリオ,ギラン・バレー症候群,重症筋無力症,横断性脊髄炎などがあり,ポリオウイルス以外にもエンテロウイルス属など種々の病原体による感染が挙げられます.
日本では,2018年5月より感染症法に基づく感染症動向調査の一環としてAFPサーベイランスが開始されました.これにより15歳未満でAFPが疑われた場合,すべての医師に診断から7日以内に保健所へ届け出ることが義務付けられています.
AFPサーベイランスの有効性を評価する国際的指標として,世界保健機関(WHO)は「非ポリオAFP症例の報告数が15歳未満人口10万人あたり年間1例以上報告されること」を掲げています2).これはギラン・バレー症候群の発生頻度を基準としており,日本の場合は年間150例程度と推計されています.しかし実際の届出数は推計より大幅に少なく,ポリオウイルスを検出するのに十分とはいえない状況です.

