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温故知新 うつ病の理解を深める

文化・社会的側面から見るうつ病② 忙しいと「うつ」になるのか

「憂うつ」の起源を歴史に探る

掲載誌
DEPRESSION JOURNAL Vol.11 No.1 26-27, 2023
著者名
鈴木 國文
記事体裁
抄録 / 連載
疾患領域
精神疾患
診療科目
精神科
媒体
DEPRESSION JOURNAL

忙しいと「うつ」になるのか.この問いは,うつ病の病理を考えるうえでも,うつ病の治療を考えるうえでも,とても重要な問いだと思う.そもそも,忙しさのためにうつ病になり,場合によっては自死を選ぶ人がいるという因果関係の捉え方は,産業医学場面で過労死という言葉が流布するきっかけとなった2000 年の裁判判決に端を発している.確かに,睡眠時間を削るほどの労働時間の果てに自死に至る例があったことは事実だ.しかし,これをもとに「忙しいとうつになる」と定式化してしまうことには,多くの問題があると思う.通常の実感からしても,忙しさは,ときに快感であり,まずは熱中と没頭を生む.「うつ」との直接的なつながりはない.だから,「うつ」という気分状態は,むしろ,退屈(ennui, boring)という状態からアプローチしたほうがその本質が見えてくると考える人がいる.現代ノルウェーの哲学者,ラース・スヴェンセンに『退屈の小さな哲学』という本があるが,この本はうつと躁の関係を捉えるうえでとても参考になる.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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