宗教とは,神や仏などの超自然的な存在に対する信仰であり,神仏の教えを信じることで,精神的な安らぎや癒しを得たいとする心の営みであると言える.平和や人々の健康を願うことは宗教の大きなテーマであり,身体的および精神的な健康度と宗教との関係性は長い間議論されてきた.たとえば,信仰心やスピリチュアリティが高い人ほど,全死亡リスクおよび心血管死亡リスクが低いことがメタ解析でも示されている1).精神疾患に注目すると,欧米のキリスト教諸国においては,信仰心はうつ病発症のリスクの低さと関連していることがいくつかの疫学的証左によって支持されている2)
個人の権利や福祉を重視する西洋文化の視点からみると,信仰心がストレスを軽減し,個人の自立を促し,結果として健康度が上がるという仮説が成り立つ.しかし,これらの視点は,個を重視する西洋文化に由来しており,特に集団や社会的義務を重視する東洋文化には馴染まない.