A 「はじめに」ケタミンは1962年にアメリカの製薬会社であるパーク・デービス社のStevens博士によりフェンサイクリジン(PCP)の代用物として合成された麻酔薬で,(R2)-2-(2-chlorophenyl)-2-methylamino-cyclohexan-1-oneという化学構造を有する.近年になり,麻酔薬であるはずのケタミンがうつ症状に対する速効性の効果をもつことが明らかとなり注目されている.ケタミンにはこれまでの抗うつ薬のようなモノアミンに対する作用はない.したがって,これまでのモノアミン仮説でうつ病を論じることが難しくなり,新たなうつ病の病態生理の解明や新薬の開発のヒントになる可能性を秘めている.
「ケタミンのうつ病に対する効果」21報の研究を用いた最新のメタ解析では,これまでの研究と同様にケタミン投与4時間後(Hedge's g=-1.29,95%信頼区間-1.66~-0.92,p<0.001),24時間後(Hedge's g=-1.24,95%信頼区間-1.59~-0.93,p<0.001),7日後(Hedge's g=-1.16,95%信頼区間-1.57~-0.55,p<0.001)に大きな効果量があることを示した1).