梅の香は終わり,日は延びた。昼と夜を分かつ時間が等しくなる春の時期を二十四節気では「春分」という。風の中には温さが交ざり,桜がいよいよ開花してくるこの時期に,私は原稿を書いている。昨年までは文字通り見ることに徹していた花見にも今年からは酒が出てくるだろう。酒が飲めると世間が喜ぶ。執筆の機会をいただいたこの良い時期に,酒について再考してみたがつくづく奥深い。