本稿では,アルコール依存症における心理職の役割と貢献について,①個別の心理療法・カウンセリング,②心理職の専門性を生かす集団療法,③心理検査・心理アセスメントと多くの心理職が担う中心業務を概説する。さらに,それらの専門性を生かせるケースとして,アルコール関連問題に加えて心理社会的問題を抱えているケース,過去にトラウマがあるケース,発達障害や人格障害などを合併し対人関係やコミュニケーションに困難さがあるケースを挙げ,かかわりのポイントにも触れた。以前はアルコール依存症治療にかかわる心理職は少なかったが,近年,公認心理師として国家資格にもなり,心理職内で依存症への関心はかなり高まっている。今後,心理職が活用される機会がさらに増えていくことを心から願っている。