アルコール依存症は,誤解されやすい病気です。私は総合病院に勤務をしていると一部の医療者から「病棟の約束を破り,注意すると怒る」,「身体加療が不十分なのに退院し,再飲酒で入院」,「禁酒を聞き入れない」,「飲酒で身体を壊すのは自己責任」という患者に対する言葉を投げかけられることがよくありました。彼らにとって,これまでに医療者として患者に寄り添って行動をしているのに,その気持ちをないがしろにされた経験が何度もあったのだろうと思います。あきらめや怒り,それらが蓄積されてアルコール依存症への誤解は作り上げられており,一概に「理解のない医療者だ」と非難しているだけでは解決はできないと私も理解しています。