当院ではアルコール依存症患者に対して,断酒の継続を目的とした「断酒外来」を行っているが,並行して減酒の継続を目的とした「減酒外来」にも取り組んでいる。「減酒外来」とは,疾病教育や減酒目標の設定,減酒日記,定期的な報告などの心理社会的治療を行うことにより,減酒の継続を支援していく治療法のことである1)

筆者は,「減酒外来」には3つの治療的意味があると考えている。すなわち「早期介入の技法としての減酒外来」,「Harm Reductionの技法としての減酒外来」,「断酒動機づけの技法としての減酒外来」の3つである(図1)。本稿では,「Harm Reductionの技法としての減酒外来」には失敗したものの,「早期介入の技法としての減酒外来」,「断酒動機づけの技法としての減酒外来」としては機能した症例を示す。