私は飲酒をしない。

昔は寧ろ酒好きな印象をもたれていた。ワインにまつわる知識と,知識から予想される味わいの一致や相違が面白く,そんな意味で酒を随分と楽しんでいた。飲酒問題が顕著であったわけでもない。学生の頃はブラックアウトを度々経験したが,以降は月にあるかないかの頻度で二日酔いになる程度で,日常生活や仕事には支障を生じたことはなかったように思う。

2014年12月23日,私は酒を止めようと思い,それ以降飲酒をしていない。町田康氏の著書「しらふで生きる」(幻冬社)では,作者も突然酒を止めようと思い立ち,作品のなかで酒を止め続けている理由についてさまざまな考察をしているが,私も同じような体験をし,同著に共感を覚えた。そう,そのときは突然やってくるのである。

私が飲酒をしない理由は何か。一つはアルコール依存症治療のなかで行われている集団認知行動療法にファシリテーターとして参加しているうちに,自ずと飲酒に関する認知や行動の修正が図られ,飲酒しないことが強化されていったこともあるかもしれない。他の心あたりのある要因としては「ヨガ」の存在が大きいのではないかと思っている。