以前,本誌にアルコールと糖尿病に関する総説1)を寄稿したご縁からと思われるが,編集部から本稿への執筆をご依頼いただいた。筆者は日常診療においては糖尿病を中心とした診療を行う内科医であり,アルコール依存症に関する専門的な知見を持ち合わせているわけではない。しかも,若手とも言い難い微妙な年齢である。このような稿の執筆に適任であるか甚だ心許ないのではあるが,貴重な機会をいただいたことに感謝し,少しばかり綴ってみたい。なお,本稿はエビデンスやガイドラインとは異なる,日常診療に根ざした筆者なりの疑問や感想が求められているものと解釈しているため,やや放恣な内容になることをあらかじめご容赦願いたい。