アディクションの家族に対する心理的アプローチはこの10年で大きく変化した。以前はアディクションにかかわる心理士自体が少数であったが,認知行動療法をはじめとしてさまざまなアプローチが流入し,心理士の活躍するフィールドも広がっている。新しいアプローチの一つが依存症の自己治療仮説や愛着に基づく理論である。これらはアディクション以前に本人の苦悩やトラウマがあったことを示しており,それらは家族のなかの暴力や支配の影響であることも多い。
家族支援においては,本人に影響をもたらした家族のなかの暴力や支配について理解し,扱えることが重要である。また,それらの影響下に家族自身もあることを踏まえて対応を行う。相手を尊重するかかわり方を提示していくことも実際的な支援となり得る。