アルコール依存症家族の実態について,筆者らが実施した2度の全国調査の結果を基に報告した。家族が当事者の飲酒問題に気づいてから支援に繋がるまでに5.5~7.0年を要しており,その理由は「相談先が不明」69.9%,「世間体や偏見」42.9%であった。また,当事者が比較的良好な経過の家族であってもストレス状況は深刻であり,重篤なストレス状態15.9%,高いストレス状態58.8%であった。ただし,家族がグループに繋がっていることで明らかにストレスは軽減しており,当事者に対して良好な対応ができるようになっていることがわかった。家族は当事者の治療の補佐役ではなく,家族自身を主役とした支援が必要性であると考える。
特集 アルコール依存症と家族
1. アルコール依存症家族の実態について
掲載誌
Frontiers in Alcoholism
Vol.8 No.2 8-14,
2020
著者名
成瀬 暢也
記事体裁
抄録
/
特集
疾患領域
精神疾患
診療科目
心療内科
/
精神科
媒体
Frontiers in Alcoholism
Key Words
アルコール依存症,家族,実態調査,ニーズ,家族支援
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。